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第96話 新宿抗争

「かしら、かしら!」  陸が目を開けた。 「誰か、先生呼んで来い!」  陸は至近距離から撃たれて首の近くを弾が抜けた。小型の拳銃だったので、そんなに重症にはならないはずなのに中々目覚めなかった。 「被弾の衝撃が脳に与えた影響は、どんな形で出るかわかりません。  意識が戻っても経過観察が必要でしょう。」 ERのドクターの診断だった。 「命があるだけでありがたい。」 あの日の、出入り、はマスコミに、後に「新宿抗争」と名付けられ語り草になった。 「チャイマの事務所に手榴弾,投げ込んだんです。」  中国製の手榴弾。 「中国に返してやっただけだ。」  投げ込んだのは15才の倭塾の構成員だった。 「チャイナは、国でガチガチの反日教育を受けている。共産主義は、武装蜂起を命令されれば、一人残らず戦うきまりがある、危険な人民だ。」 と、全く後悔していない。 「数人の人間が亡くなったんだよ。 身体を吹き飛ばされて障害が残った人もいる。 反省しないのか?」  警察の取り調べに納得できないと言い切った。 こちらの方が被害が大きい。  彼の手榴弾がきっかけで抗争が始まった。チャイマは豊富な銃器で応戦して来た。  いつ、持ち込んだのか大量の武器が揃っていた。兵役もあるから武器の扱いに長けている中国人に、こちらの人間の方が被害は大きかった。  実際のドンパチは数時間で収まった。 死屍累々の中で、倭塾の生き残ったメンバーは、旭日旗を振って,君が代を歌った。  それは周りで見ている人の涙を誘った。 死者、日本人50名。中国人は13名だった。最後にバズーカ砲まで撃ち込まれたのだ。  長ドスを握って事切れているヤクザがたくさんいた。みんな腹にサラシを巻いて,裸の上半身に見事な紋紋を背負っていた。  新宿の街の人たちは、集まって弔った。 日頃から中国人の目に余る態度の悪さに住人は怒り心頭だった。 「良く戦ってくれた。警察も及び腰だった、チャイニーズマフィアに、真っ向から戦ってくれた日本人、ありがとう。」  SNSで動画が拡散され、#愛国心、がトレンドになった。  テレビでは、また、ヤクザが暴れて迷惑だ、危険だ、とだけ放映された。 「右翼はこわいですねぇ。」 と、御用有識者とやらがほざいていた。

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