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第4話「初めての」※

「……っ」  男の手がハルの服に入り、その熱い手の平で肌をなぞると、ハルの体は小さく震えた。 「……反応が|初心《うぶ》すぎるな……初めてか?」 「……っ」  聞かれたままに頷いて、ハルは顔を逸らして、俯いた。 「無理、しなくていいから」  自然と漏れた言葉に「無理? どういう意味だ?」と聞き返された。 「オレのような男を……無理して抱かなくていい」 「――」  少し眉を顰めた男は、ハルの顔に手をついて、それから、ぐい、と下半身を密着させてきた。  「なにを……」と焦った瞬間。ハルの昂りに、男のそれが擦りつけられる。一瞬で顔が熱くなった。 「や、め……」 「――こんなに、興奮するのは、久しぶりだ」 「……ッ」 「無理して、抱くんじゃない。抱きたいと思うからだ」  そう言われて、頬に触れられた。見つめあうと、なんだか痺れたような感覚に襲われる。  動けないままのハルの唇に、男が触れる。 「名前は? 何て呼んで欲しい?」  唇を柔らかく重ねながら、そんな風に聞かれる。 「……ハル」 「ハルだな……オレは、クロウだ。呼んでみろ」 「……クロウ」  ふ、と微笑まれて、胸がドキ、と弾んだ。 「――いい子だな」  いい子、なんて言われるのは子供の時以来だ。恥ずかしくなって背けようとした顎を取られる。キスされて、深く舌が絡んできた。 「……ん……ぅ、ン……ッ」  激しくなるキスに正気を奪われていく。  何度も角度を変えてキスをされる間に、後ろはドロドロに溶けて熱くて辛い。  もぞ、と脚を動かすと、気付いたクロウが、ハルの服に手をかける。慣れた手つきで脱がされていく。キスで気が逸れていて気付いていなかったハルが、自分が全裸なことに気づいて、カッと赤くなる。  思わず毛布で隠そうとすると、クロウはそれを止めた。 「綺麗だから――このまま、オレに任せろ」  綺麗とかそんな訳がない。そう思いながらも、優しく首筋にキスを落とされているうちに、なすがままになる。乳首や腹筋に舌を這わされ、ビク、と震えながら堪えていると、完全に反応していたハルのモノが、クロウの口に含まれた。 「ぁっ…… や……っ……ん……ッ!」  生温かい感触に包まれ吸われて、気が遠くなる。前を愛撫しながら、クロウの指が後ろを侵した瞬間、頭の中で光が弾けて、真っ白になった。前で達しながら、ぎゅう、と後ろの指を締め付けてしまう。 「締め付けがすごいな」  興奮したように言うクロウに、たまらなく恥ずかしくなる。  けれどその一方で。 「……っ……っ」  クロウが興奮してくれるのが嬉しいと感じる。  会ったばかりの男と、なぜこんなことに……。  確かにそう思うのだけれど、拒絶するという選択肢が、ハルにはなかった。  縋るようにクロウを見上げると、クロウはハルと視線を合わせて「可愛いな、お前」と囁く。脚を割られて、更に奥まで指で慣らされた。 「中に入れたら、死ぬほど、気持ち良さそうだな……」 「……んん、う……っあ……」  上擦って甘えているみたいな自分の声が聞くに堪えず、ハルは首を振りながら、クロウの腕を制止するように掴んだ。 「――ハル?」 「……っ頭が……変になりそうなんだ」  じっと見つめ合って数秒。は、と、クロウが低く笑う。 「なっていい。オレしか見てないから」 「っ……クロウが見てる、じゃないか」  その言葉に、クロウはハルを見つめて、目を細めた。 「本当に可愛いな……どれだけおかしくなってもいいぞ」  クロウはハルに深く口づけて、十分に潤ったそこから指を抜くと、自分のモノをあてがった。 「……ん……ン」 「死ぬほど気持ちよくしてやるから。余計なことは、考えなくていい」 「……っ」  ハルは唇を噛みしめて、腕をクロウの背に回して抱き付いた。 「――う、ん……クロ、ウ……」  涙目で見つめると、深く激しくキスされる。ハルの中に少し突き入れては抜きながら、ゆっくりと中に収まってくる熱に、涙が零れた。 「……っあ……!」  奥まで入れられただけで、快感でまた目の前が白く弾ける。 「……ッん……ぁ……」  クロウは、ハルのモノから溢れる雫を手に取り、震えるそれを扱く。自分で慰めるのとはまったく違う、怖いくらいの感覚に、声も抑えられなくなっていく。 「……んっん……ひ、ぁっ……!」  ハルは前後の刺激に、声をあげながら、ビクビクと震える。クロウ自身が中に馴染んでからは、激しく突き上げられて、何度も達する。逞しい体に押し乗られて、その重みにハルの胸は熱くなった。 「クロ……ウ……っ……ク、ロ……」  クロウにしがみついた瞬間。中でクロウが達した。中に、熱いものが出されるのを感じる。 「……っあ、ふ……ク、ロウ……もっ、と……」  浮かされたように、深いキスの間で言うハルに、クロウは低く笑う。 「まだ終わらないから、安心しろ」 「……あ…… ん、ぅ……ッ!」    そのまま深く突き入れられて、中を擦られる。  熱くキスされ、甘く感じるクロウのフェロモンに翻弄される。  そのまま、なすがままに。  その夜は、空が白むまで。  ――――心も体も全部、溶かされた。 (2025/8/3)

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