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第1話-4 特別だよね

周りの視線がその彼に集まっている。 いまだざわつく生徒たちに、 再び職員は静粛に、と注意をした。 それらの視線は再び舞台上へ移った。 それでも秋は、 彼から目を離すことが出来なかった。 体育館に差し込む光の全てが彼を照らすために存在し、また、小窓から吹き込む風は彼の髪を心地よく揺らすために存在しているのか、という錯覚を起こすほど。 彼は案内をチラッと確認した後、 目線を舞台へ移した。 秋はその視線の動きと瞬きにさえ、 何故かどきりとしてしまった。 長いまつ毛が上下する様を、 息を呑んで見てしまった。 ふと、彼が秋の視線に気づいたのか、 こちらに顔を向ける。 目線が合った。 秋はまるで石のように動けなくなる。 すると彼はニコリと口角をあげ、 小さく会釈をした。 秋の心拍数は異様に早まった。

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