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第1話-5 特別だよね

入学式が終わると、 クラスごとにホームルームがあった。 秋のクラスには芸能科の生徒だけが集まっていて、先ほどの彼も同じクラスメイトであった。 黒板に張り出された席順通りに着席すると、 彼もまたその席順を確認し、 秋の一つ前の席に座った。 担任の先生に促され、 生徒らは一人ずつ自己紹介をしていった。 事務所名やこれまで出た作品などを自己紹介に交えるものもいたが、あの彼は順番になるとスッと席を立ち、「壱川 春(いちかわ しゅん)です。よろしくお願いします。」とそれだけ言い、小さく微笑み、席に再び座った。 次は秋の順番だったのに、 彼にすっかり気を取られ、担任の先生に何度か促されてやっと自分の番だと気付いた途端、秋は慌てて立ち上がった。 その様子にクラスメイトたちは くすくすと笑い声をあげていた。 秋は自身の名前と、シンガーソングライターをやっていることを簡潔に話し、いそいそと席に着いた。

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