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第1話-6 特別だよね

ホームルームが終わり、 すぐに春の周りには人だかりが出来ていた。 秋はピンときていなかったが、春はすでに地上波のドラマや映画に出演しており、このクラスの中では売れっ子らしい。 そんな彼と一言話そうと、 クラスメイトたちが集まっていたのだ。 春はそれらの全てに、 にこやかに愛想良く接していた。 先ほど仲良くなった高野がふと秋の元に来て、そんな春の様子を眺め、「すごいねえ、THE芸能人って感じじゃない?」と小さく秋に言った。 秋は春に目線を残しながら、 「凄い顔、だよね」と高野に言った。 それに高野はあはは、と声をあげて笑い、「いや確かに、凄い顔だよね。同じ人間とは思えないよね。みんな綺麗だけどさ、ちょっと特別だよね」と言った。 ―― 入学してしばらく経ってわかったことは、 春はとても物静かで無口、 決して自分からは人に話しかけたりしないこと。 けれど常に彼は人の中心にいて、けれどその輪の中でもニコニコと微笑んでいるものの、黙って聞き役に徹していた。 その目立つ容姿とはギャップのあるものだった。 秋は春のことを入学式以来ずっと気になっていたが、それは特別なことではないようだった。 誰にとっても春は興味を惹く特別な存在だった。

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