8 / 209

★第2話-1 「心配してくれたの?」

5月になった。 この日、秋は二泊三日の校外学習へ向かった。 行き先は京都。 1日目は京都の寺社仏閣の見学、2日目は自由行動、3日目は帰宅といったプログラムだ。 班は名簿順で分けられ、秋は春と同じ班になった。 そして、宿泊する宿も二人で一緒だった。 秋は春と同じ班になり、自然と嬉しいという気持ちを感じていた。 1日目の午後。 あるお寺で、秋は春に「お守りを買いあわない?」という提案をした。 お守りは自分で買うより、お互い買い合うほうが効果があるんだよ、と秋が言うと、春は素直にその提案を受けてくれ、お互いに芸事のお守りを買いあった。 秋はお守りを手に取り、それを天高くかざした。 その様子をただ見つめる春の目を見て、 「一生大事にする!」と声高々に宣言した。 すると、春は少し首を傾げて、言った。 「..お守りって..一年で神社とかに返すんじゃなかった?」 それに秋は拗ねたように言う。 「関係ない!春が買ってくれたやつだから!」 春はいつものように優しく微笑んで、 そっか、ありがとう、と言った。

ともだちにシェアしよう!