11 / 209
第2話-4 「心配してくれたの?」
春が自分のことを話してくれたのが珍しくて、秋は嬉しく思った。
「じゃあ普段は関西弁?」
「んー、家族と話すときはそうかな」
秋は春を覗き込むように言った。
「え、聞きたい」
「急に言われても難しいな」
春は少し困ったような笑顔を見せ、続けて言った。
「今瀬くんも関西出身だよね?」
秋は思わず目を丸くした。
自分の情報を知ってて覚えてくれてる!と感動したからだ。
「すごい、覚えてくれてるやん!」と思わず秋は関西弁で返事をした。
すると、春は少しはにかみながら、「覚えてんで」と、同じように関西弁で返してくれた。
初めて見る春のそうした砕けた姿に、秋の涙はすっかり引っ込んでいた。
秋は嬉しくなり、春を色々と質問攻めにしたが、
「そろそろ帰ろっか」と春がその話をうまいところで切り上げ、春に連れられ宿に帰った。
ともだちにシェアしよう!

