高校生活初めての夏休みに突入した。 芸能科高校の友人たちは、皆それぞれの仕事やレッスンで毎日忙しいようだったが、秋は週末にライブハウスで行われる対バンイベントの出演以外仕事はなく、平日は1日中自宅に篭り、ただ一人ぼんやりとする暇な毎日を送っていた。 そんな矢先、いつもつるんでいる友人グループの松山淳から、「主演した映画の招待券があるけど、見にくる？」との誘いがあった。 あまりにも暇だった秋は、松山のその誘いに飛びついた。 そして、同じく友人である高野 快斗(たかの かいと)と、二人でその映画を見に行くことになった。 高野はダンスのレッスンに明け暮れているようだったが、たまには息抜きがしたい、とのことで、貴重な休みにそうして秋と出掛けてくれることとなった。 その映画は、松山と、そして春のW主演の映画で、男子高校生同士の恋愛模様を描いたBL作品だった。 高野は言った。 「友達同士がこういうの、なんか気まずいよね」 秋はそれにうん、と頷き、女性客ばかりの映画館をそわそわと見渡し、席に着いた。