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第3話-6 「抜いてみたら?」
「どうかな、俺は恋愛対象が男だから”男同士でも”っていうのは分からないけど。」
その松山の言葉に、えっ!?と、高野、舛井 光里(ますい ひかり)、秋の三人は声を上げた。
春はいつもと変わらない様子で驚いた様子は見せず、小さく微笑んだあの表情のままだ。
続けて松山は言った。
「あ、安心してくださいね、君たちタイプじゃないので全く意識してないし、全く可能性ないから、ごめんね」
すると高野が「告ってもないのに振られた〜!」と、和やかにその場を収めるように言う。
松山は高野のその発言に小さく笑いつつも、「春には映画撮影前に言ってたんだよね、ほら、後から知って嫌な気持ちにさせたりしたら申し訳ないじゃん?」と、またあっけらかんと言った。
春はその言葉にまた、小さく微笑んで松山に頷いた。
松山がそうしてあまりにラフに告白したので、高野、舛井、秋の三人は変に気を遣うことなく、「男が好きってどんな感じなの?」と質問をした。
すると松山はその質問にふふ、と笑い、そして言った。
「別に、人を好きって言う感情は別に君らと同じ、何も変わらないよ」
休み時間が終わった後、秋は前の席に座る春の背中をじっと眺めながら、さっきの松山の話をぼんやり考えていた。
男が好き、か。
すると突然くるっと春が振り返り、秋に目線をやる。
突然目があって、思わずドキッとする秋。
え、と秋が声を発した途端、これまで聞こえていなかった周りの音が聞こえ、自分が教師に当てられていたことに気づく。
ああ!っと声を上げて急いで立ち上がる。
クラスメイトたちや教師には「おい、夏休みボケかよー?」と笑いながら突っ込まれ、秋は思わず赤面した。
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