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第4話-3 「好きな人いるの?」
自宅に戻り、春に「来てくれてありがとう」という旨の連絡すると、「こちらこそ誘ってくれてありがとう 少ししか見れなかったけど凄くいいライブだったよ」と返事が来る。
そして秋は新曲のことをメッセージに打ち込むも、それをやはり削除した。
直接、言葉で伝えよう。
秋はそう決め、再度春のメッセージを読み返す。
簡素なメッセージ。
だけど、秋にとってはその一つのメッセージだけで、今日は充分な気がした。
優しい春のことだ。
きっと忙しい合間を縫って、少し無理してきてくれたんだろう。
そう思うと、秋は再び胸がいっぱいになった。
――
ライブが終わってしばらく、春は仕事で学校を休んでいた。
次に会ったら話をしよう、と決めていた秋だったが、
すっかりタイミングを逃してしまう。
そして春が休みのまま迎えるのは、初めての高校の文化祭。
あれ以来何も連絡をしていなかったが、
秋は勇気を出し、春に「今日文化祭来れそうにない?」と連絡をしてみる。
すると割と早く返事が来た。
「夜に終わるから難しいかも 文化祭楽しんでね」
秋は迷った挙句、「俺遅くまで残ってるから、仕事終わりに来ない?少しでもいいから」と緊張しながらそうメッセージを送った。
するとまたすぐ、「じゃあ終わる頃連絡するね でも無理しないで」と春から返事が来た。
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