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第4話-4 「好きな人いるの?」
もしかしたら仕事が早く終わるかも、と小さな期待をしたものの、結局文化祭はあっけなく終わってしまった。
クラスメイトたちもどんどん帰っていき、教室には、というか、
学校にはほぼ秋一人。
無理しないで帰って、とは言われたが、
でも春と文化祭したいし…まあ文化祭は終わったんですけど…と
一人でブツクサ喋っている時、秋は突然はっ!と思い立つ。
そして、急いで教室の飾り付けを始めた。
春がもし早く終わって来ることが出来たら、と思って買っておいた焼きそばやたこ焼きなどを机に一つずつ並べ、残った段ボールに"100円"などと金額を書き込む。
そして教室を飛び出し、学校中から置き去りにされていた電飾や看板を盗んで来て、美術室から取り出してきたペンキでそれらを塗り直し、残されていた装飾をもう一度教室中に散りばめる。
徐々に教室は秋によって飾り付けられ、教室には文化祭がぎゅっと詰め込まれた空間へと変わっていく。
そうして必死で準備をしていると、背後から突然声をかけられた。
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