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第4話-5 「好きな人いるの?」

「秋」と呼びかけられ驚いて振り返ると、そこには少し息を切らして肩を上下させている春がいた。 あまりに驚いている秋を見て、「ごめん、連絡入れたんだけど・・電話すればよかったね」と春は言った。 急いで携帯を確認すると、「今終わったよ まだいるかな?」と20分前に連絡が来ていた。 秋は準備に集中していて、その連絡に全く気づいていなかった。 ごめん、俺連絡気づいてなくて…と謝る秋。 春は教室をぐるりと見渡し、「すごいね」と微笑んだ。 秋は咄嗟に言う。 「まだ文化祭、終わってません!」 すると、春はこれまで見たことないほど優しく笑い、「ほんとだね、終わってない」と言った。 秋はその反応に思わず赤面する。 それを咄嗟に隠すように、ほら、焼きそばもあります!と春に声をかけ、二人だけの文化祭を開催する。 「100円です!」 秋は店員を演じ、机に置いた焼きそばを差し出して、そう春に言う。 すると春が笑って、財布から100円を取り出して秋に手渡した。 秋は元々お金を取るつもりはなくて、なので、はいお釣り!と言ってそのまま受け取った100円玉を春に返した。 すると春は笑って言った。 「...閉店セール?」 そんな春の冗談に、秋は簡単に嬉しくなってしまう。 そうそう!と言い、そのまま焼きそばを手渡す。 「いいんですか?」 と春はイタズラっぽくそう言った。 秋は普段春があまり見せないその表情に、嬉しそうに微笑んで、そしてまた店員を演じて「いいよいいよ!持ってっちゃって!」と言った。 そして秋はスッと横の机に移動し、「たこ焼きいかがですかー」と再び春に声をかける。 春はおかしそうに笑う。 「じゃあ一つください」 春は再び100円玉を秋に手渡して、秋はお釣り!と言ってそれを返す。 春はんー、っと少し目線を上に上げて考えた後、言った。 「...セットで買うとお得?」 秋は思わず吹き出した。 秋はそれに元気よく「にいちゃん、得したね!」と返事をして、春を手招きして一つの机に向かい合って座った。 二人で焼きそばとたこ焼きを分けて食べる。 冷めてるね、と秋は不服そうな顔をしてそう言うが、春は「美味しい」とニコッと笑った。

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