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第5話-2 好きでいる理由

振られたことを報告した松山からは「避けられないだけマシ」だと言われた。 
「キモいって噂ばら撒かれていじめられるとかザラだからね」ともいい、「まあ男が男を好きってさ、100%振られる前提でいないとだから」と。 恋を忘れるには恋ですよ、と助言を受けるもあまり乗り気ではない秋。 「今回のことで男も女もいけるって分かったんだから、全人類が恋愛対象じゃん、当たって砕けていけよ〜」とも言われたが、実際秋は”春だから”好きになったという意識が強く、男も恋愛対象に入ったという感覚はなかった。 ―― いつもの帰り道、独り言のように秋は言った。 「春ってもしかして、彼女とかいるのかな」 すると松山はうーんと考えた後、
「いないんじゃない?」と軽く言った。 「…その心は?」 「んー…ほら、あんだけ学校とか休んでて、結構忙しいじゃん、春。昼間はああやって撮影して、夜はいっつもデイプロのレッスンあるし、だから時間ないんじゃないかなーって。」 それだけ?と不満そうに秋が言うと、「いや仕方ないじゃん!春ってそういう事何も言ってくれないし・・まあそういうことだけじゃなくて自分のことすらあんま言わない人じゃん?だから俺も全然知らないよ」と困ったように松山は答える。 そして続けて松山は言った。 
「春って、雑誌とかの恋愛のインタビューとかもぜんっぜん答えないんだよ」 
「大体、"秘密です"って誤魔化すんだよね」 
「だから、好みのタイプすら、だーれもわかんない!」 「鉄壁じゃん…」 
秋がそう言うと、そ〜なんだよ〜とお手上げ、と言った様子で松山は手のひらを掲げた。

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