40 / 209

第5話-3 好きでいる理由

ふと秋は気になり尋ねる。 
「あっくんが男が好きだって言った時はさ、なんて言ってたの?」 「そうなんだ、だけ。」 「だけ...?」 「だけ。だからさ、まあ春のセクシャリティもさっぱりですわな。まあでも、偏見はないんじゃないかな。俺のこと避けたりもしないしさ、ほら、秋も避けられたりしてないじゃん。」 「まあね」 「春に聞いてみたら?」 「は!?無理だよ、俺振られてんだよ?」 「まあ確かにね」 「あっくんが春に聞いてよ」 「やだよ、勘違いされるじゃん」 勘違い、というワードに秋は反応する。
 どうした?という顔をする松山に、秋はあの日のことを打ち明ける。 好きだと春に告白した時、「勘違いだと思うよ」と言われたことを。 それを聞いた松山は、しばらく黙った後、
「...勘違い、か」と不思議そうに呟いた。 そして松山は表情を戻し、そのあとなんて返したの、と秋に尋ねた。 「俺の気持ちを勝手に勘違いにしてなかったことにしないで、って言って怒った」と秋がいうと、熱烈だね〜と揶揄うようにして笑った。 
やめてよ、と言って拗ねる秋に、松山は続けた。

ともだちにシェアしよう!