そしてしばらくして、そろそろ帰るね、と春が立ち上がる。 そして玄関まで見送りドアを出る直前、
「ちゃんと寝てね」と春が言った。 え？と聞き返すと、
「あんまり元気なさそうだから」と少し控えめに春が言う。 え、元気だよ？なんで？と秋が驚いて返すと、
「ご飯残してたし・・アイス食べてからも元気なかったから」
と、春は少し心配そうな表情を浮かべる。 いや全部それは春のことが好きだという気持ちから来る弊害ですが…？と秋は咄嗟に思い、「あ、いやそれは…」と言いかけて、口を詰む。 そして、「元気だよ、仕事のことでちょっと悩んでたから、春が来てくれて気が紛れて、助かった」と嘘をついた。 そっか、と春はまだ心配そうに微笑むから、
秋は「またご飯食べに来て、アイス食べたいから」と冗談ぽく言った。 すると春はあはは、と笑い、
「じゃあまたなくなった頃に誘ってね」と言った。