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第7話-6 "友達"関係
それから夏休みに入り、学校で会えなくなってからも、
秋が時たま夕飯の時に春を誘って、こうして一緒に時間を過ごしていた。
いつも春は決まってアイスを4つ買ってきてくれて、
秋がどのアイスが好きか表情で探りながら、
春がアイスを選ぶのがお決まりになっていた。
秋はそれがなんだかくすぐったく、そしてなんとも嬉しかった。
どんな料理を出しても、いつも春は美味しいと言って食べてくれた。
けれど、たまに苦手な食べ物が入っているとき、春は決して言わないけど、
皿にはそれだけが残っていく。
それに秋が笑って「嫌いなの?」と尋ねると、
バツが悪そうに「嫌いっていうか・・苦手・・なだけ・・・」と
よくわからない言い訳をした。
そういうのがいちいち可愛いと、
秋はいつも思っていた。
二人でそうやって過ごすたび、秋は、春と
”友達”でいることが徐々にしんどくなっていた。
春の一挙手一投足で嬉しくなったり悲しくなったり、
そういうのを繰り返すたびに、
春を好きだと実感するのを避けられないから。
自分がこうして春に会えるのは友達だからで、
友達でいなければ、こうして二人で過ごすことができないんだ、
と思うと苦しかった。
でも、それでも春に会いたくて、二人で会いたくて。
――
夜中、春から返事が返ってきた。
その日の夕方、秋が「もうアイスなくなった」と連絡していたのだ。
「補充しにいかないとね」
たったそれだけの返事だけど、
秋は春にまたこうして会えるんだと思うと、
また簡単に嬉しくなってしまった。
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