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★第8話-1 泊まっていきなよ
高校生活2度目の夏休みが明け、季節は秋に差し掛かった。
相変わらず春は仕事で忙しいようで、教室にその姿はない。
あーあ、と秋が大きなため息をつくと、松山が声をかけてくる。
「なーに、大きなため息ついて〜。割と順調なんじゃなかったでしたっけ?」
そう肩を小突かれる。
松山には春を自宅に招いて、頻繁に夕飯を共にしていることを話していた。
アイスをいつも4つ買ってきてくれる、と自慢げに話すと、
「え〜、ハーゲンダッツ4つ買うなら俺なら定食屋行くわ」と言われ、
「何でそんなこと言うんだよ!」と反抗しつつもまあ確かに…、
と若干納得する秋に
「まあでも、春の中で割と有意義な時間だったりするんじゃない?」
と松山は言った。
松山には飴と鞭でうまく転がされている秋であった。
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