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第9話-6 優越感
その夜、松山から電話が来る。
要件は春の話題だった。
連絡入れたけど、返事はまだきてない、ということ。
そして、今日春と現場が同じらしい友人に連絡して聞いてみると、
珍しく春が原因で現場が止まったらしい、と、
松山も信じられないと言った様子で話してくれた。
「現場止まるって何…?」
「や、ほら、なんか調子悪かったりして…あー、例えば泣くシーンの後しばらく泣くの止まらなくて撮影が中断する、とか割とよくあるんだけど。詳しく事情は知らないけど、そういうふうに、春の不調を理由に撮影が中断したってこと」
「不調…?」
「やっぱ体調あんま良くないんじゃない?それかほんとに疲れてるとか」
「そうなのかな…大丈夫かな…」
「まあ連絡いれれば?俺から聞いたって言っても良いし」
「……なんかキモくないかな…こそこそ周りに聞き回ってさ…ただでさえ今日ああいう感じだったしさ…」
「まあもうそうだったんだったら、今更キモいって思われたってなんてことないんだから、連絡すれば」
「あっくん〜泣、否定してよぉ〜…"そんなことないと思うよ"ってぇ〜…」
「いやそんな気休め聞きたいんだったら俺に相談しないでよ」
「お願い、一個でいいから気休め言ってよ…何でも良いからさ…昔、春が俺を褒めてたとかない…?」
「ない」
「ないかぁ〜泣 あってくれよ〜…」
すると、松山が「でも」と言った。
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