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第10話-11 行きたかったな
「いや・・その、俺って、その、一回・・・春に振られてる・・じゃん」
「それなのに、泊まっていけばとか、その烏滸がましいっていうか、その・・春が”友達でいよう”って言ってたのに、なんかその一線超えちゃったかなって、俺すごい反省して」
すると春はじっと秋を見つめ、
静かに「何も気にしてないよ」と言った。
「本当に!?でもあの日、春結局帰っちゃったじゃん、だから俺、あ、やらかしたってすごい思って・・」
「それは・・秋、何か予定あるのかなって思っただけで」
「え?何で!ないって言ったよ?」
「いやでも、様子が変っていうか・・。後から思い出したのかなって。でも、それを言い出せなくて困ってるのかと思って」
「ないない!俺はただ・・き・・」
緊張していただけ、という言葉を咄嗟に収める秋。
「だから、それでその、春はすごい俺に落胆したかなとか、そう、思って・・」
「してないよ」と春は小さく笑う。
そして春は続けて静かに言った。
「でも、次の日、白石さんと会う約束があったんじゃないの?」
「え?ないよ」
「・・今日学校で言ってたよね」
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