93 / 209
第11話-3 嘘つき
「いやさ、春のそれ、癖だなと思って」
「癖?何が?」
「や、瞬き。なんか考えてる時、春そうやって瞬きするよね」
「そうかな、自分では気づいてなかった」
「いやさ、長いから、まつ毛が。すごい、それしてるとじっと見ちゃう。」
春はまた瞬きをして、秋に視線を移し、
やめて、意識するから、と言って笑った。
「ベッド行こうかな、って迷ったんでしょ?」
「うん」
「はは、ほら行きなよ」
するとまた瞬きをする春。
あはは、と秋はまたその仕草を見て笑う。
ちょっとしかめっ面をして秋を見る春。
「重そう」
「まつ毛が?」
「そう」
「はは、重くないよ」
「長いし多いし」
「そうかな」
ともだちにシェアしよう!

