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第11話-4 嘘つき
秋が自分の目元を触る。
そして「俺めっちゃ少ないよ」と言った。
そう?と春が少し近づいて、秋の顔を覗き込むように見る。
そうかな、と再び春は言った。
秋はそれにドキッとして、
パチパチ、と瞬きをした。
「秋もしてるじゃん」と
春は秋の顔を覗き込んだままそう言った。
「何考えたの?」
秋はそう聞かれ、まさか”ドキッとした”なんて言えないから、
真似しただけ、春の!と誤魔化した。
すると春はふっと笑い、
また先ほどのようにソファにもたれかかった。
二人とも何も言わず、沈黙が続く。
秋は何となくその沈黙に耐えられず、咄嗟にこう言った。
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