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第11話-5 嘘つき

「触ってみたい」 え、と春は驚いた顔をして、「まつ毛?」と聞いた。 秋は何言ってんだ!と焦り、
や、や、冗談ね!冗談!と誤魔化した。 すると春はふっと目を閉じて、
顔を秋の方に向けた。 え、本当に?と秋は尋ねる。 春は目を閉じたまま、うん、と言った。 秋はしばらくじっとそんな春を眺めた。 
そして、そっと手を伸ばし、
親指でそっと、春のまつ毛を撫でた。 すると春がふふふ、と笑った。 「え、なに」 「本当に触ったと思って」 「え、冗談だった!?」 「ううん」 そう言ってから春はゆっくり瞼を開け、
秋を見てから静かにいった。 「一瞬、違うこと想像したから」

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