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第11話-9 嘘つき
舌が触れ合う。
それに対して、春の舌がわずかに動いた。
逃げるのではなく、こちらに寄せるように。
なぞるように、離れて、また触れる。
息を交わすたび、深くなる。
無意識のうちに、身体が春の方へ吸い込まれていく。
押し出されたように、春がソファの座面に倒れた。
その瞬間、唇がふっと離れた。
秋が見下ろす視線の先で、視線は秋に向けられたまま、
春は浅く、そして早く、吐息を漏らしていた。
二人の吐息だけが、部屋に響いていた。
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