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★第14話-1 突然の誘い

高校最後の夏休みに入った。 修学旅行の夜、マネージャーから連絡が来ていたコンペに、
秋は運良く審査を通っていた。 そして同じく審査に通った数名の候補者が集められ、
具体的な楽曲制作に関する打ち合わせが行われるということで、
秋はその日、テレビ局に訪れていた。 初めて来たテレビ局に浮き足立つ秋。 約束の時間よりも随分と早く来てしまったため、
マネージャーはまだ来ていない。 秋はフラフラとテレビ局内を徘徊し、
自販機が置かれた休憩スペースのような一角にあったソファに、腰掛けた。 しばらくそこに座っていると、そこには何人もの人々が現れ、
自販機を利用していった。 そこまで芸能界に詳しくない秋でも知っているような、
有名なお笑い芸人やアイドル、俳優たちが通りすがっていく。 秋はそれを眺めながら、“すごいとこに来ちゃったな”と思わず緊張で身を固くした。

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