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第14話-2 突然の誘い
するとしばらくして、大勢の集団がこちらに向かってくるのが見えた。
その先頭を歩く人の顔を見て、
秋は思わずハッと立ち上がった。
その人は春が所属するデイプロに同じく所属する、
渡邉悟 で、
秋は春の影響でデイプロに嫌に詳しくなってしまっていたので、
彼にすぐに気づいた。
加えて渡邉は、春が新たに結成した、
来年デビューを控えるグループの一員で、
そのため秋はそんなふうに過剰に反応してしまったのだ。
遠くからでも秋が突然自分たちを見て立ち上がったことが分かったのか、
その集団が秋に一斉に視線を向けるのが分かった。
そして秋の方に彼らは近づいて、
秋の前でふと立ち止まった。
が、彼らにとっては秋は見知らぬ存在だ。
秋の顔を確認してピンと来なかったのか、
しかし立ち止まった手前か、
「お疲れ様です」と秋に笑顔で声をかけ、
また彼らは歩き出した。
通り過ぎていく彼らの顔を確認する。
春は_______いない。
秋はふっと俯いて、再びソファに腰を下ろした。
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