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第16話-8 聞き分けのいい子
そうしてデスクへ向かった向井は、チェアに腰掛けて笑いながら言った。
「本当に、友達、なんだ?」
じっと向井を睨むようにして見つめる秋に意地悪い笑顔を浮かべつつ、向井は続ける。
「君、こないだ、局に携帯忘れて行ったでしょ」
「え?あ...はい」
秋はその言葉にふっと表情を変える。
「あれね、僕が拾ったんだよね。でも」
「春が持ってきてくれたでしょう?」
秋は固まったまま話を聞いている。
向井は続ける。
「春、すごい焦ってウチまで来て、何回も僕に秋に何かしましたかって聞いてきてね」
「そんな必死な春を見るのは初めてだったから面白くてね、ちょっと嘘ついて。」
向井はニヤニヤと笑う。
「携帯返してって断っても何度も言うから。」
「僕は交換条件が好きだからね」
そう言った向井に食ってかかるように秋は尋ねる。
「何したんですか」
「何って…想像つかない?」
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