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第17話-3 それ以上のこと

「…ごめん、僕そろそろ行くね」 そう言って立ち上がる春の手を、秋は掴んだ。 「待って」

 「…面倒じゃないでしょ」

 「嫌だったから、俺に行くなって言ってくれたんでしょ?
おんなじことされてほしくないから、春が嫌だったから、そう言ってくれたんでしょ?」

 春は何も答えない。 「なんで自分に…そうやって…嘘つくの?俺はただ…春の…力になりたいだけで…」 すると春は言った。 「ありがとう。でも、大丈夫だから」 秋はその言葉にひどく傷付く。 
春と自分との間に、超えられない一線を引かれたような、拒絶されたような、そんなふうに思えたから。 「...秋、離して」 
春がそう呟く。 

秋は思わず口をついてこう尋ねた。

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