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第17話-4 それ以上のこと
「俺にキスされた時も...面倒だから受け入れたの?」
春は俯いたまま、何も答えない。
「嫌だったのに、したくなかったのに、面倒だから、受け入れた?」
「だからあの後も、そのまま何も無かったことにして、それも全部、面倒だから…」
そういう秋の言葉を春は遮って、強く言った。
「…そうじゃない!」
秋が咄嗟に顔を上げる。
「…けど…本当に分かってる?」
春は続けて言った。
「僕、女の子じゃないんだよ
秋は…そうじゃないでしょ
男なんて好きじゃないでしょ
…僕のこと、好きだって言ってたけど
それ、分かってる?」
春の呼吸が浅いのが分かる。
秋は春の手を掴んだまま、答えた。
「分かってるよ」
「分かってないよ」
「分かってるよ!だからキスしたんじゃん」
春は浅く呼吸を繰り返し、そして言った。
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