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第17話-6 それ以上のこと

「やめよう、秋」 

「これ以上踏み込んでも
、お互い幸せになれないよ」 
春はゆっくり秋の手を解いた。 
そして、玄関へ向かう。

 秋はそんな春を、大きな声で呼び止める。
 そして、尋ねた。 

「春は、春は…俺のこと、どう思ってるの?」 その言葉に立ち止まった後、
しばらくして春は小さな声で言った。

 「...知ってもどうにもならないよ」 そう言ってドアノブに手をかける春に、秋は続けて言葉を吐く。 


「...ワンマン!」

 「ワンマン来て!
春が...春が言ったんだから!」 

「来て!」 その言葉を聞いたのかそうでないのか、
春はそのまま部屋を飛び出して行った。

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