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第18話-2 壱川春
あの夜、秋に呼ばれて秋の自宅へ行った日。
感情的にお互いが言葉を投げ合い、
そして逃げるように去る春に、
秋は「ワンマンに来て」と懇願するように言った。
あの後秋からの連絡はなく、
春は普段ほとんどマネージャーらとの連絡でしか使わない携帯で、秋の名前で初めて検索をかけた。
するとすぐ、秋のSNSが出てきた。
秋はワンマンの告知も兼ねて最近は特にこまめに更新しているようで、春は秋が更新している秋が写った写真などをぼーっと眺めた。
機械やSNS、ネットに疎い春は画像の保存の仕方も分からず、秋のワンマンライブのフライヤー画像を保存出来ず、携帯のメモ帳に場所と時間をメモした。
そうしてマネージャーから送られてきたスケジュールを確認する。
が、その日は丸一日仕事だ。
分かってはいたことだが、春は小さくため息をついた。
撮影は順調に進んでいる。
が、24時終わりのスケジュールがいくら巻いて早く終わったとしても、あまり意味がない。
もうあと数分で、秋のワンマンライブが始まる時間だ。
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