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★第20話-1 好きなままでいいよ
高校三年、高校最後の文化祭の日になった。
秋のワンマンライブから数日経ったこの日、高校最後の文化祭であるというのに、秋は未だ浮かない顔をしていた。
春はずっと仕事で学校に来ていない。
今日もきっと、来ないのだろう。
でも、と秋は思う。
会ってもきっと、春は何もなかったように、
いつものように微笑むだけなんだろう。
いくら秋が春に思いを告げ、春の内側に入り込もうとしても、ああして春はいつも最後には秋を締め出してしまう。
「これ以上踏み込んでもお互い幸せになれないよ」
数日経った今も、その春の言葉に秋は新鮮に傷ついて悲しく思った。
春が好きだ。
春には、そんな秋の気持ちはとうに届いてるはずだ。
反応を見ればそれがよく分かった。
でも、春はそれを受け入れることは、
きっとしないだろう。
もうこれ以上、春に踏み込んでいく勇気が、
秋には残っていなかった。
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