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第20話-5 好きなままでいいよ

「…いいから」

 「え?」 白石が小さく発した言葉が聞き取れず、
秋は聞き返す。 「好きじゃなくていいから」 白石ははっきりと言った。 「私と付き合って」 白石は秋の手を優しく掴んだまま、秋をまっすぐな目で見上げてそうはっきりと言った。 「秋くんが壱川くんを好きだったように、私も秋くんがずっと好きだったよ。」 「壱川くんを好きなままでいいよ。二番目にして」 秋はその言葉に動揺する。 「そんな…二番目とか…良くないよ」 「いいよ。私がいいって言うんだから」 「でも…俺は…」 するとそんな秋の言葉を遮るように、白石が言った。 「じゃあ、壱川くんは秋くんの望みを叶えてくれるの?」 「好きって気持ちすら、受け取ってくれないんでしょ?」

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