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第22話-2 向井聡
春はそれからすぐに大きな作品の主演を務め、業界内では有名な子役になった。
至る所で度々目にするようになり、向井は春が成長していく様を楽しみに観察するようになった。
あと少し、もう少し。
果実が実るのを楽しみに待つように、
向井は春が男性として実る様を、
心待ちにしていた。
そして春が15歳になった頃。
向井のドラマに、春がキャスティングされた。
地上波ドラマの、一話のみのゲスト出演。
その回のキーを握る、重要な役どころだった。
向井はキャスティングには噛んでおらず、
壱川春が決まったとプロデューサーから聞いたとき、
じとりと笑った。
まだ少し早い、と思ってはいたが。
向井は珍しく、撮影現場に向かった。
4年振りに春を生で見た時、向井は思わず息を呑んだ。
あの時もそうだったが、桁違いだった。
この世のものとは、生身の人間だとは思えない。
常軌を逸した美しさだった。
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