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第22話-5 向井聡
向井は春の頬に当てた手のひらを、ゆっくり撫でた。
そして、そのままその手で首筋をなぞった。
絹のような滑らかな肌。
向井はそれを、手のひらで、
そして、見下ろした目線で撫でた。
春はただ、されるがままで、何も言わない。
向井は春の着ているシャツのボタンに手をかける。
一つずつ、ゆっくりとボタンを外す。
時折、春の表情に目をやる。
相変わらず、春は来た時のまま、
わずかに口角をあげて向井を見ている。
向井の手が、それまで服に隠されていた春の肌に触れる。
向井は言った。
「抵抗しないんだね」
すると春は静かに口を開いた。
「…したほうがいいですか?」
向井はそれに、少し間を空けて、
ニヤリと笑って言った。
「いいや?この方が好都合だけど」
そうして向井は、春の首筋に唇を落とした。
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