だから秋を呼び出して、向井はいたずらをした。

 しかし秋は、それに応じなかった。 

ただ、「春に同じことをしたのか」と
怒った様子で向井に尋ねてきた。



 向井は嫉妬した。

 いるんじゃないか、そういう相手が。 

愛されたいと願い、
そして対等にその想いに応えてくれる人が。


 壊したいと思った。

 めちゃくちゃにしたい。




 そうして向井は、あれから連絡を入れていなかった春に、久々に連絡を入れた。 



"秋くんに次のドラマの主題歌を依頼しようと思って。

 さっき呼び出したら来てくれることになって。

 春も来る？"



 春は少しの沈黙の後、はい、と言った。 
そして、行くまで何もしないでください、と言った。 


"僕が相手をするので、秋には何もしないでください" 


向井はその言葉に乾いた笑いをあげた。 


同じように、秋にも連絡をした。 

春の名前を持ち出すと分かりやすく反応する秋に、
また向井は笑った。