178 / 209

第23話-2 寂しい

秋は息を切らしながら、
向井のシャツの首元を掴んだ。


 「…何したんですか」

 向井はその秋の動作に、おおお、と笑いながら、馬鹿にするように言った。 「だからさあ、想像つかない?」 秋はその言葉に、吐き捨てるように言った。 


「…気持ち悪い」


 向井は片眉を上げた。

 そして、言った。 



「春はそれに応じてるんだよ」

 「君みたいに見返りを提示してるわけじゃない」 

「ただ、何も求めず、応じてる」 


秋は言い返す。 

「でも、無理やり…」



 すると、
ははは、と向井は大きな声を上げて笑って言った。 

秋は怪訝な顔を向ける。 
「無理やりじゃないよ」 「だって、春が挿れる側だよ?」 




秋は思わぬ向井の言葉に、思わず固まった。

ともだちにシェアしよう!