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第23話-3 寂しい
向井は、向井のシャツを掴んだ秋の手を強く払い、
そして言った。
「気持ち悪い?」
秋は何も言い返せない。
そして向井は秋ににじり寄り、言った。
「春は、君が僕に言ったように、
"気持ち悪い"と罵られる側の人間だ」
「春は僕に興奮して、立たせて、
挿れたくて挿れてるんだ」
「分かる?」
「君はその春の欲求に、応えられないでしょう?」
向井のその言葉に、
秋は春の言った言葉を再び反芻する。
__「分かってる?」
__「秋はそうじゃないでしょ」
___「キス以上のこと、秋は出来ないでしょ」
具体的に想像もできなかったその言葉の意味に、
秋は思わず動揺した。
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