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第26話-4 どうしたいか言って

「…嬉しくて」 

「春が頼ってくれたのが、すごい嬉しいなあって…」

 「そう思ったらなんか、泣けてきちゃった」 



春はじっと秋を見つめている。 秋は嗚咽を漏らしながら、必死に伝える。 



「やっぱり俺ね」


 「…春が好きだよ」 

「ちゃんと、好きだよ」



 「付き合えなくてもいいよ 恋人じゃなくてもいい」 

「友達でも…ただのクラスメイトでも…知り合いでも…それでもいいよ」


 「でも…俺のこの気持ち、好きだって…」 

「春には、春だけには…信じて欲しいよ」 

「信じて…お願い…」



 じっと秋を見つめる春の瞳が大きく揺れていた。

 そして春は小さく浅く息を吐いて、
目を伏せて小さく何を呟いた。



 「…めだ」 



「…え?」 
秋は聞き返す。 



それに春は目線をあげ、秋を見つめた。 




「ごめん、俺だめだ」



 そう言いながら春は秋に手を伸ばし、
秋の首を強く引き寄せて、
そして唇を重ねた。


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