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第26話-7 どうしたいか言って
二人は再び隣合い、
向かい合ってベッドに身を預けていた。
秋は春の手をそっと掴んでいる。
春もそれに応えるように、秋の手をそっと握っていた。
「好きだよ」
秋は言った。
それに春はうん、と優しく頷いた。
「…春は?」
秋は尋ねる。
すると春は少し困ったような顔をして小さく笑った。
秋はそれに、不安そうな顔をした。
その表情を見て、春は顔を隠すように秋の胸に顔をうずめ、小さな声で言った。
「…好きだよ」
「…もう一回言って」
秋はねだるように言う。
「…もう言ったよ」
「俺はもっと何回も言ったもん」
「…うん」
小さく笑う春。
「言ってよ」
そう言うと、返事の代わりか、春はそっと秋の背中に手を回した。
秋も手を回し、ぎゅっと春を抱きしめる。
そうして静かに、秋は話し始めた。
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