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第2話

だって、変わりすぎだろ。
 身長もめちゃくちゃ伸びてるし、肩幅もがっちりしてて、体つきも大人の男そのもの。 でも── 笑った顔に、見覚えがあった。 「……タカヤ?」 「やっと気づいてくれたね。俺のこと、忘れた?」 笑った顔が、昔のままだった。 
でも声も雰囲気も、どこか大人びていて── 思わず見とれてしまった自分に、少しだけ腹が立った。 (なんでお前なんだよ……) ──まさか、あのアプリのメッセージの相手が、
美咲の弟、タカヤだったなんて。 スタバで待ち合わせて、最初は誰かわからなかった。
見た目は完全に“大人の男”になってたし、
何より── ドストライクすぎて、見惚れた。 子供の頃のあいつは、可愛いって印象だったのに。 
今のタカヤは、身長も高くて、声も低くて、
笑顔だけは変わってないのに、どこか“余裕”があった。 「まさか、愁くんがアプリやってるなんてね」 「……お前こそ」 「俺は、ずっと探してたよ」 「は?」 「再会できたら、ちゃんと口説こうって決めてたんだ」 ド直球に言われて、思わずアイスコーヒーが喉に詰まりかけた。 ──何それ。 ずっと探してた?  俺を?
 そんなこと、知らなかった。
 ずっと、忘れてたと思ってた。
 もう会うこともないと思ってた。 それなのに。 「……子供の頃、お前、俺のこと嫌いだっただろ」 「そんなわけないじゃん。むしろ──」 タカヤは俺の目を見た。 「初恋、だよ」 (……っ、うそだろ) やばい、これ、完全にペース握られてる。 俺の中で、どこかがじんわり熱くなるのがわかった。

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