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第12話

タカヤ・土曜の夜 ソファに身を沈め、天井をぼんやりと見上げる。
 浮かんでくるのは、 愁の笑顔、 何気ない仕草、 話し方。 どれをとっても可愛くて、 思い出すたびに吹き出しそうになる。 「……可愛すぎるだろ」 温泉で見せた、 あの期待を込めた視線。
 家まで送った時も同じ目をしていた。 ──絶対に、意識してた。 期待してた。 けれど今じゃない。 焦らなくていい。
 欲しいのは身体だけじゃない。 心ごと欲しいから。 「待てるよ、いくらでも」 そう言い聞かせながらも、 胸の奥では確信している。
 ──愁はもう、自分を選んでくれてる。

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