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第26話

(タカヤ視点・余韻シーン) 愁が俺の胸に顔を埋めたまま、小さく息を吐いた。
 ぐったりして動かない。 ……いや、寝てる。 「……ほんとに気ぃ失ってんじゃん」
 思わず胸の奥がじんと熱くなる。
 あんな顔、俺にしか見せない。 そう思うと、嬉しすぎて苦しくなる。 シーツを引き寄せ、汗に濡れた愁の肩をくるむ。
 濡れた髪を撫でると、うっすら赤くなった耳がのぞいて──また胸が詰まる。 「愁……ごめん。俺、やりすぎた」
 でも、やめられなかった。
 欲しくて欲しくて、独り占めしたくて。 誰にも渡したくないって、ずっと思ってた。 「これからは……ちゃんとするから」
 囁きながら、愁の額に口づける。 ……それでも心の中ではわかってる。
 きっと次も、我慢なんてできない。 だって、愁が可愛すぎるから。 抱きしめたまま、俺も目を閉じた。
 鼓動のリズムに重なるように、隣から聞こえる寝息が心地よい。
 ──こんな夜が、ずっと続けばいい。

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