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act7 総一郎SIDE
やばい。やばい、やばい……。
絶対にまずい。
いくら自分も酔っていたからと言って、よりにもよって御曹司に手を出すなんて……。
何とかあそこで押しとどまったものの、あのままだったら確実に最後までヤッてた気がする。
総一郎は、部屋に戻るなり自室のベッドに突っ伏して、深い溜息を吐いた。
「いや、でも……あれは不可抗力だろ」
いくら酒に酔っていたとはいえ、あんな無防備な格好であんな事を言われたら、男だし、ムラッと来ない方がおかしい。
正直、変な気が起きない方がどうかしている。だが、相手は男だし、よりにもよって御曹司だ。それもかなり金持ちな部類の……。
おまけに自分は女の子が好きだ。男になんて今までこれっぽっちも興味は無かった。
だから、何かの気の迷い。きっとそうだ。いや、間違いなくそうに決まっている。そう思いながらも、もう一度溜息を吐き出す。
「俺はノーマル。俺はノーマル……」
呪文の様に何度も繰り返し、自分に言い聞かせた。
でも……。
「唇……。柔らかかったな……」
あの身体の感触と温もりが忘れられない。
「って、だから! 俺はノーマルだっての!」
「んん、うるせっ! 夜中に何叫んでるんだよ」
「うわっ!? ごめん!」
思わず叫んでしまったら、同じ部屋で寝ていた佐伯を起こしてしまった。
総一郎は慌てて謝罪し、心の中で何度も謝りながらベッドに潜り込むと、頭から布団をかぶった。
だが、一度高ぶってしまった気持ちはなかなか治まる気配が無い。そればかりか、先ほどの彼の姿が脳裏を過ぎり妄想ばかりが広がって行く。
(相手は男なのに……何考えてるんだ俺は!)
ダメだダメだダメだ! と頭を左右に振って、煩悩退散。今日あったことは全て忘れるんだ! と言い聞かせる。
しかし……。一度昂ってしまった熱はなかなか引く気配が無かった。
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