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「はぁ。たく……西園寺さんって、ホント時々凄い事言いますよね」 「え?」 「無自覚ですか、ソレ」 苦笑気味に呟いて、総一郎の大きな手がゆっくりと一二三の方へと伸ばされる。擽るように頬を撫でられ、その手が首筋へと滑り落ちるのを感じてビクリと身体を震わせた。 「……だいたい自分がすっごい殺し文句言ってるってわかってるんですか?」 手に持っていたココアを奪い、近くのテーブルへと置くと腰をグッと引き寄せられあっという間にソファに組み敷かれてしまった。 「わっ、ちょ……」 「こんな綺麗なツラして無防備に俺になら抱かれてもいいだなんて、そんな可愛いこと言われたら、誰だって火ぃ付くでしょ」 急な行動に慌てる一二三を見下ろしながら、総一郎は何かを堪えるようにそう呟いて、顔をゆっくりと近づけて来た。 直接的な言葉にドキリと鼓動が跳ねて、頬が熱くなる。髪や頬に触れる優しい手が自分の体中を愛撫し、秘めた部分を開いて一つになる。 正直言って未知の世界を知るのはとても恐ろしい。だけど、総一郎になら……。 なんて思うのは、可笑しなことなのだろうか? どんどん近づいて来る気配に、心臓が壊れそうな程にバクバクと早鐘を打つ。 でも本当に、まだ会って間もない総一郎に全てを捧げてもいいのだろうか。 してみたい、とは思う。けれどやっぱり怖いし、本当にそれでいいのかと言う不安が付きまとう。 「ん……っ」 一二三に迷いが生じたのを見透かしたかのように、総一郎の唇が一二三のそれへと優しく重ねられた。 「西園寺さん、集中してください。煽ったの、アンタでしょ」 唇を触れ合わせたまま語りかけられ、何か発する前に再び唇を塞がれてしまった。 啄むような口づけから、段々と深いものへと変わり、深く舌を絡めて強く吸い上げられる。 薄く開いた唇の隙間から舌が差し入れられ、クチュリ……と濡れた音が響く。 口内を探るように動く舌に、背筋がゾクゾクする。丹念に口内を嬲られる感覚に神経が研ぎ澄まされていく。 静かな展望室に濡れた音が妙に生々しく響いて、一二三を倒錯的な気分にさせた。 丁寧に歯列の裏側や頬の裏もくまなく舐められて、飲み下せない唾液が口端から溢れて行く。 「は、ぁ、……っ」 舌先で口内を優しく愛撫され、身体から力が抜けて行く。やっぱり、彼とのキスは物凄く気持ちがいい。もっとして欲しくて顎を上げ総一郎のシャツを握りしめていた腕を躊躇いがちに首に回すと、角度を変えながら更に深く口付けられた。 「ん……ふっ」 舌を擦り合わせたり、甘噛みしたりと好き勝手に弄られて、口の端から溢れた唾液が伝う顎を、総一郎の舌がゆっくりとなぞって行った。ぞくぞくと身体が震える。 「ぁ……」 唇を離した総一郎の舌が首筋を這い、いつの間にか肌蹴ていた胸元へと下りて行く。 「すっげ、色が白いから、なんか妙にエロく見えますね……」 「なに、が……っ、ぁんっ」 すっかり存在を主張していた胸の突起を口に含まれると、一二三は小さく声を上げて、その背を撓らせた。 胸をチュッと吸われて飛び出した自分の甘ったるい声に驚いて、一二三は慌てて自分の手で口を塞ぐ。 なに、今の。 「ん……、ぅン、んッ」 その反応に気を良くしたのか、総一郎はペロリと自分の唇を舐めてから、一二三の薄い胸板にふぅっと息を吹きかけ、味わうように舌で転がし始めた。 吸われては、軽く歯を立てられる。ねっとりと舐められて、と胸の突起を舌で転がされる。 神経が、チリチリと灼けるような感覚がした。触れられて舐めて吸われた場所に火が点いたみたいに熱い。 「ぁ……はっ、ぁあっ」 噛まれては舌で優しく労わるように舐め上げられ、息が弾む。もう片方は総一郎の指で捏ねられ、爪を立てられたり、二本の指で挟んだままクリクリと動かされたりすると堪らない疼きが下肢に溜まって行く。 「は……、気持ちよさそうな声出して……。やっぱり、乳首、好きなんですね?」 「わかんな、ぁ、あッ……まって……っ」 左右の胸に同時に刺激を与えられ、じわじわと這い上がって来る快感から逃れたくて、頭を左右に振る。 なんでこんなに身体が熱いのか判らない。薄い布越しに触られた場所がムズムズして堪らない。こんな感覚は初めてで、一二三はどう反応していいかわからないまま総一郎に縋るように腕を伸ばす。 だがその手は直ぐに総一郎の指に捕まりソファへと押し付けられてしまった。

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