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夜明けのファジーネーブル 第27話 知る権利 | 藤音鴻(ふじねこ)の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
夜明けのファジーネーブル
第27話 知る権利
作者:
藤音鴻(ふじねこ)
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27 / 37
第27話 知る権利
桃慈
(
とうじ
)
はよろめきながら両手を前に差し伸べた。
春橙
(
はると
)
がシロに付き添われるようにしてこちらへ歩いてくる。 シロは、ときおり春橙の表情を確認するように見上げている。 この犬には春橙が見えているのか? 桃慈の脳裏をそんな疑問が通過していった。 「春橙!」 どうしてここに?聞こうとした桃慈に先んじて春橙は口を開く。 「とーじ。話を聞いてみよう」 なぜ知っている、どうして聞きたい、春橙への疑問が桃慈の脳内で渦を巻いた。 「必要ないよ」 桃慈はじっと春橙の目を見つめながら言う。不安げに悲し気に揺れる愛しい春橙の瞳。 「どうして知る必要がある?このままでいいじゃないか。何も心配いらないよ、春橙はオレが守るから」 春橙は桃慈から目をそらすと、ゆっくりと首を振った。 「春橙……」 「聞きたいんだ。ちゃんと知りたい」 春橙の伏せられた目を、閉じられた控えめに色づいた唇を見つめる。 「大丈夫。おれたちは何があっても一緒だ。 ……そう誓っただろ?」 春橙がすっと顔を上げ、自分の胸元を示した。穏やかな微笑み、桃慈は春橙の決意を感じた。自身の胸元を押さえ、二人の誓いのびい玉の存在を確認する。たしかにそれはそこにあった。小さくとも。 「そうだな、……そうだよな」 すっとシロが桃慈の目の前で座り、黒くクリクリとした瞳でひたと桃慈を見上げた。桃慈はそんなシロから目を離せず、その黒い瞳に自分が映っているのを見た。 桃慈はシロの頭へ手を伸ばそうとして、両手がふさがっていることに気づいた。両手の荷物をちらりと見ると、それらを片手にまとめ、空いた右手でそっとシロの頭を撫でた。 温かい…… シロには生き物のぬくもりがあった。そのぬくもりは自然と桃慈の心を落ち着かせ、ずっとつきまとっていた焦燥感――わけもなく急き立てられるような、時だけが進んでいってしまうような不安を和らげてくれた。 シロは立ち上がると大神たちの方へ数歩歩き、こちらを振り向いた。 ついてこいと言うようなしぐさに、桃慈と春橙は思わず顔を見合わせる。 「おん!」とこちらを見ながら不機嫌そうに鳴くシロに二人同時に吹き出し、シロの元へと向かった。
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