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夜明けのファジーネーブル 第44話 一つの答え | 藤音鴻(ふじねこ)の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
夜明けのファジーネーブル
第44話 一つの答え
作者:
藤音鴻(ふじねこ)
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第44話 一つの答え
春橙
(
はると
)
を見送ってから、数日後の昼下がり。大神は一人で神社の縁側に腰かけ、鼻先を飛んでいくトンボを見るともなく眺めていた。 きしりと背後から床の軋む音が聞こえ振り返ると、口元を袖で隠しながらあくびをするシロの姿があった。 「……今回はずいぶん長かったな」 幾分ほっとしながら、シロの顔色を窺う。だるそうに首を左右に傾けているが、顔色は悪くないようだった。シロは大神の隣に並んで腰かけ、眩しそうに目を瞬かせながら空を仰いだ。 「何日くらい寝ていた?」 シロの問いに、大神は数えるふりをする。本当は数えるまでもなく、わかっていた。 「ひーふ―……四日かな」 「そんなにか」 大神の答えにシロは驚いたような声を上げる。 「……かっこつけて無茶するからだ」 むっつりと仏頂面をする大神からシロはついっと目をそらした。 大神はシロにわかるように大きくため息をつき、庭の草花へ目線を向けた。庭のほおずきがオレンジに色付き始めていた。 シロが視線をそらしたまま、口を開いた。 「……こうなるとわかっていても、二人を引き合わせたかと聞いたな」 「……ああ」 大神は
桃慈
(
とうじ
)
の暗い瞳を思い出す。そしてシロづてに聞いた春橙の最期の願いも。 「私はまた同じことをするだろう。……たとえ同じ結果が待っていたとしても」 大神は自分ならどうかと考える。シロのように断言はできない、そう思った。 春橙の願いが叶えばいい。そうでなければあまりにも報われない。長く生きていても、あのとき桃慈へどんな言葉をかければよかったのか、何がしてやれたのか、大神にはわからなかった。 「愛する者から与えられる感情は、どんなものであれ人生の宝だ」 シロの言葉に驚いたように横を向く大神。大神を見つめるその視線とかち合い、反射的に目をそらす。 「今日はずいぶんとロマンチストなんだな?」 「おかげさまで」 シロはさらりと大神の嫌味をかわすと、ややぎこちない動作で庭先に降りた。 「藤丸」 シロは振り向きながら、手を差し伸べる。大神――藤丸へと。 「……その名前で呼ぶなって言ってるだろ」 不機嫌そうな大神をくつくつと笑いながら、シロは笑みを深める。促すように、誘うように、差し出した手を揺らす。 大神はその白い手を見る。 「いいではないか。久方ぶりに散歩に行こう」 苦虫を嚙み潰したような顔をする大神を見て、シロが楽し気な笑い声を響かせた。
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