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第4話

 木剣が目の前まで迫ったところで、エドワードはくるりと左に向きを変えて素早く離れていった。 「あっ……」  空振りして姿勢を崩してしまった団員の後ろへ回り込み、今度はエドワードが木剣を振り下ろす。 「それっ!」  カツン──  鎧と木剣がぶつかって、ひときわ大きな音が響き渡った。  それからすぐに、団員はドサリと地面に倒れ込んでしまった。  エドワードと団員の白熱した一戦を見ていた他の団員たちは、驚きの声を出していた。 「それまで!」  審判の声とともに模擬戦の終わりが告げられた。エドワードはふぅ、と息を吐きながら肩の力を緩めて木剣を下ろして姿勢を正した。  エドワードに遅れて相手の団員は素早く立ち上がって、姿勢を正しながらエドワードと向かい合った。 『ありがとうございました!』  二人は声を揃えて礼をした。再び頭を上げて顔を見つめると、悔しそうな表情が浮かび上がっていた。 「参りました、エドワード殿下。まだまだ鍛錬が足りていませんでした」 「そんなことないよ。真正面から力比べしてたら、僕が負けてたはず。でも、魔物の脅威に向かっていくには、日々の鍛錬が大事だ」

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