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第5話
「ありがたきお言葉……! これからもご一緒に国のために鍛錬していきたいです!」
「うん、よろしくね」
この国──コーニッヒベル王国は、領土の多くが自然に包まれた豊かな国だ。隣国との関係も良好で、人間同士の争いははるか昔のこととして資料が残されているだけだ。
しかし、コーニッヒベル王国には騎士団の存在が不可欠だった。
自然が豊かな一方で、その中には人々に襲いかかってくる魔物があちこちに潜んでいた。かつては争いのためにあった騎士団は、今は魔物の脅威から人々を守るために存在している。
自然は自国の様々な産業に必要不可欠な存在で、そう簡単に壊していくわけにもいかなかった。
そのため、開拓した街は砦を築いて魔物の脅威から逃れていた。そして各地に騎士団を派遣して、魔物の駆除や迎撃して日々奮闘している。
エドワードのいる王都では、騎士団員の育成が主に行われている。各地から集まってきた人々は、日々鍛錬に勤しんでいる。
そんな中、この国の第二王子であるエドワードは、自らの意思で騎士団員とともに鍛錬に励んでいた。病弱な兄に変わって次期国王であることが約束されているエドワードは、自らの力で民を守れるほど強い王であるべきと幼い頃から思っていた。そのため、成人になった十七歳のときから力をつけていくために本格的に鍛錬を始めた。
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