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第14話

「んっ、もう……」  思わず不満を口にしてしまったが、まだ少し進んだだけである。この程度で弱音を吐いてはいけない。 「ゆっくり進みましょう」  ロドルフはエドワードの方に振り返り、そっと声をかけてくれた。  二人きりになったときからゆっくりとしていたのに、ロドルフにはすっかり見抜かれていた。そんな優しさに、エドワードは頑張ろうと気合いを入れ直した。  ロドルフはエドワードよりもずっと実戦を経験している。このままエドワードが実戦を経験しない限り、ロドルフとの力の差は広がるばかりだ。今はまだロドルフに遠く及ばないけれど、もっと経験を積んで追い越したい。  しばらくゆっくりと進んでいると、突然前方からカサカサと草の揺れる音がした。風が一切吹いていない中で、不自然な音だ。  その場で立ち止まると、ロドルフは剣の柄を握っていつでも剣を抜ける体勢になった。  再び草が揺れると、子どもくらいの大きさの何かが飛び出してきた。 「キーーーッ!」  耳に響く嫌な声を出しながら、ゴブリンが襲いかかってきた。そのままの勢いで、ゴブリンはロドルフへと向かっていく。

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