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第15話

「はっ」  だがロドルフは、物怖じすることなく素早く剣を抜いて、一瞬でゴブリンの中心を斬り裂いた。 「ギャアアアアアア……」  耳を塞ぎたくなるひときわ高い声を出すゴブリンから、黒い煙が出てきた。それは徐々に濃くなっていき、ゴブリンの姿が見えなくなってきた。  ロドルフがすっと姿勢を正すうちに、声も黒い煙もなくなっていた。ゴブリンの姿は跡形もなく消え去った。  チンッ、と金属のぶつかる音を小さく立てながら、ロドルフは剣を鞘に収めた。それからゆっくりとエドワードの方に振り返った。 「す、すごい……!」 「ゴブリンが油断していたおかげです。魔物は身体の中央を斬られると、先ほどのように黒い煙を出しながら消滅します」 「身体の中心……。ゴブリンは、人間でいう胸のあたりかな?」 「そうです。そこを狙ってみてください」 「うん!」 「では、また進みましょう」  再びロドルフの背中を見ながら、エドワードは歩き出した。  いつも見ているはずなのに、今日のロドルフはやけに立派な背に見えた。危険な場所で頼りになるから、そんな考えが頭をよぎる。エドワードもこれくらいたくましくなりたいとひしひしと感じていた。

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