15 / 171
第15話
「はっ」
だがロドルフは、物怖じすることなく素早く剣を抜いて、一瞬でゴブリンの中心を斬り裂いた。
「ギャアアアアアア……」
耳を塞ぎたくなるひときわ高い声を出すゴブリンから、黒い煙が出てきた。それは徐々に濃くなっていき、ゴブリンの姿が見えなくなってきた。
ロドルフがすっと姿勢を正すうちに、声も黒い煙もなくなっていた。ゴブリンの姿は跡形もなく消え去った。
チンッ、と金属のぶつかる音を小さく立てながら、ロドルフは剣を鞘に収めた。それからゆっくりとエドワードの方に振り返った。
「す、すごい……!」
「ゴブリンが油断していたおかげです。魔物は身体の中央を斬られると、先ほどのように黒い煙を出しながら消滅します」
「身体の中心……。ゴブリンは、人間でいう胸のあたりかな?」
「そうです。そこを狙ってみてください」
「うん!」
「では、また進みましょう」
再びロドルフの背中を見ながら、エドワードは歩き出した。
いつも見ているはずなのに、今日のロドルフはやけに立派な背に見えた。危険な場所で頼りになるから、そんな考えが頭をよぎる。エドワードもこれくらいたくましくなりたいとひしひしと感じていた。
ともだちにシェアしよう!

